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「あ、あのう、落ち着いてください!」
睦美の涙でシャツが滲んだ。
硬直しながらも見下ろすと、血管が青白く浮き出ていて、骨と皮でゴツゴツしていた。
体温だけは熱い……どうしよう。堅い物が引っ付いた感じ。弾力無しだな。
「ごめんなさいね。久しぶりに優しくされて、私……甘えてしまった」
「熱いうちに食べて下さい。俺、これで失礼します。家族も待っているので」
両手で力強く、睦美の肩を押し返した。
「そうよね。貴方も家庭があるのよね……今日はありがとうございました。本当に嬉しかった――」
また睦美は泣き出しそうになった。
ちょっと待てえーい! ここでまた涙を見たら、帰れなくなりそうだ。
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