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――おじやだな。
歯もボロボロで弱そうだし、柔らかいものが良いだろう。
「俺、普段は食べるのが専門なんですけど、味覚だけは天下一品で、作る方にも長けているんですよ。任せて下さい!」
有無を言わず立ち上がり、キッチンへと向かった。
なんだか可哀想な人だな。夫に反抗するにも、あんなに弱々しくちゃなぁ……。
「台所失礼しまーす! あの、作り上げたらすぐに帰りますから、安心して下さい。
ここから少し距離がありますけど、良かったら話掛けて下さいね」
キッチンから声を張り上げると、片っ端から棚の扉を開けた。小鍋をまずは発見し、取り出した。
「優しくされたのは久しぶりです。ありがとう。……家の前で倒れてるなんて変ですよね」
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