鬼はおばあさんが倒した

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 昔々あるところに、おじいさんとおばあさんがいました。おばあさんは川へ洗濯に、おじいさんは山へ芝刈りに行きました。  おばあさんは川で洗濯をしながらふと呟きました。 「最近日本の経済が落ち込んでいて先行き不安じゃのう」  そこへ、どんぶらこー、どんぶらこーと大きな桃が流れてきました。おばあさんはびっくりして腰を抜かしてしまいました。そして口元をニヤリとさせて叫びました。 「ビジネスチャンスじゃー!」  おばあさんは桃に飛びかかり、渾身の力で桃を陸へと投げ飛ばしました。その所業まさに鬼神。地は揺れ、森はざわめき、その雄叫びは辺りを支配しました。  家まで桃を運んでくると、山からおじいさんが帰ってきました。 「大きな桃じゃのう。村の者にも少し配ってあげようじゃないか」 「ただであげるのかい? このご時世、そんな考えじゃお金がいくらあっても足りないよ」  おじいさんは首をかしげ考えました。 「つまり、この桃を売るってことか。さすがばあさんだ。これで老後も安心じゃのー」  するとおばあさんは大きなため息をついておじいさんに言いました。 「分かってないねえ、おじいさん。これ一個売ったところで精々一ヶ月分の食費にしかならないよ。そんなものはただの金儲け。私がやりたいのはビジネスなんだよ」 「びじねす?」
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