第16話

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 ステーキに満足した重蔵は立ち上がった。 ドリンクバーのカウンターでグラスを手に取り、トングで氷を掴んでは入れ、コーヒーを注いでいる。完成した飲み物を片手に、腕時計をチラリと見た。 会社に戻る時間とか決まっているのだろうか? どさっと椅子に座り、窓の外の景色を遠めに見ている。ストローに口を付けては黄昏ていた。 ――けっ! いい気なもんだ。ん? なんだあれは? 重蔵はポケットから、小さく畳んだ四角い紙を取り出した。 丁寧にガサガサッと用紙を広げ、はぁーと大きく溜息を吐いている。 ――あ、あの緑色の用紙、ドラマとかで見たことがあるぞ。離婚届けってやつだな!
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