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「お疲れ。なにか食べるか?」
「ううん、要らないよ。すぐに戻らなきゃいけないし、貴方と少しでも話せるだけで私は元気が出るから大丈夫。
……ねぇ、今日こそ、それ。書いて貰ってよ。私とずっと一緒に居たくないの? 婚姻届は記入済みなのに、おかしな話じゃない?」
えびす顔だった重蔵は嘘のように曇り、立ち上がった。
「俺、ドリンクバーを頼んでいるんだ。なにか作ってくるよ、何飲む?」
「……じゃあ、アイスコーヒー」
「分かった」
暗くなった重蔵の表情に、女も不安の色を見せた。用紙を見つめ、憂鬱そうにしている。
「はい、どうぞ」
「……ありがとう。結婚するんだよね? 私と」
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