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風呂から上がると、鰻の匂いが充満していた。
バスタオルを首から掛け食卓へ向かうと、大きなどんぶりに御飯がたっぷりと鰻が5枚重ねられていた。
その天辺から、これでもかと鰻丼が訴えてきてるかのように、甘辛のタレが容赦なくかけられていた。
「すげー良い匂い! うまそー! 頂きます」
その香りに我慢できず腰を掛け、箸を取った。大好きな山椒も忘れずに振り掛ける。御飯を口内に放り込んでは満足感が広がった。
鰻丼に訴えられるなら、容疑者になっても良いよな。
「どう信ちゃん、美味しい? 体調だけは管理してよ。秋雄ちゃんの大事な結婚式もあるんだから」
そんなイベントもあったなぁと思いながら、リモコンを押しテレビのスイッチを入れた。
わりぃ。今は秋雄より重蔵の行方なんだよ。
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