0人が本棚に入れています
本棚に追加
「馬鹿。俺はこっちだ。」
「あ、蓮っ、」
声がした方へ顔を向けると切れ長の瞳の眼鏡をかけた男子がいた。
「蓮が206なん?」
「さっき言っただろうが。」
呆れながら蓮と呼ばれた眼鏡の男子が溜め息をついた。
知り合い同士らしい2人に挟まれながら、俺は黙って立っていると
蓮を呼んでいた男子が俺にニカッと笑いかけ
「俺、205号室の井上一樹(いのうえ かずき)。よろしくなっ、」
「あ、八谷 楓です。」
「楓…、なんか女みたいな名前だなー。」
―――…まったくもって悪気がないような言葉。
かなり傷つくんだが…
苦笑いを浮かべながら、その場をやり過ごす。
「あ、こっちは日向 蓮(ひゅうが れん)。俺と幼なじみなんだ。」
「俺は206号室だ。よろしく。」
「あ、よろしく、」
蓮は口の端をあげて微笑む。
笑わないと少し怖いイメージがあるが、笑うと少し優しく見える。
最初のコメントを投稿しよう!