第1話-入寮-

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「馬鹿。俺はこっちだ。」 「あ、蓮っ、」 声がした方へ顔を向けると切れ長の瞳の眼鏡をかけた男子がいた。 「蓮が206なん?」 「さっき言っただろうが。」 呆れながら蓮と呼ばれた眼鏡の男子が溜め息をついた。 知り合い同士らしい2人に挟まれながら、俺は黙って立っていると 蓮を呼んでいた男子が俺にニカッと笑いかけ 「俺、205号室の井上一樹(いのうえ かずき)。よろしくなっ、」 「あ、八谷 楓です。」 「楓…、なんか女みたいな名前だなー。」 ―――…まったくもって悪気がないような言葉。 かなり傷つくんだが… 苦笑いを浮かべながら、その場をやり過ごす。 「あ、こっちは日向 蓮(ひゅうが れん)。俺と幼なじみなんだ。」 「俺は206号室だ。よろしく。」 「あ、よろしく、」 蓮は口の端をあげて微笑む。 笑わないと少し怖いイメージがあるが、笑うと少し優しく見える。
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