5人が本棚に入れています
本棚に追加
「ねえ、あの劇はなんなの?」
「ん、あれはこの村に昔から伝わるお話を村の人たちがしてるんだよ。ほら、妖が封じられる話きいたことあるんじゃないかな?」
妖狐が村に頻繁におりて、人を化かすようになった。
村は今後、化かすだけじゃ済まなくなるかもしれないと妖狐を封じる。
妖狐を封じた森はその呪いで燃え上がることがあるのだ。
村には届かず、森もなんとか再生するような規模らしいが。
けれど……妖狐は本当は人と仲良くしたかったのではないだろうか。
森が燃えるのは燃えやすい木が多いからだろうから、妖狐は罪を被せられただけだし。
わたしは持て余した時間の中でたまにそんなことを考えてみる。
人のふりして、仲良くしようとしても、妖だとばれた瞬間化かしたことにされてしまう。
能力者とにている気がして、この狐は嫌いになれなかった。
「珠莉?どうかしました?」
「あ、うん……なんでもないよ母さん」
わたしの顔を覗き込む母さんに小さく首を振ってこたえる。
別のとこに行こう。
あのお話についてはよくいえば由緒のありそうな、言ってしまえば古い、屋敷についてからでいい。
どうせ帰れば暇だけはあるんだし。
最初のコメントを投稿しよう!