土の章 祭の夜

6/12
前へ
/30ページ
次へ
「あっちの方は何?」 先ほど賑わっていたもう一方。 お店のようなものが並んだ一角を指差す。 人々は食べ物を買ったり、ゲームをしたりしているようであった。 「あ、屋台だね。見てみる?」 こくり、と頷く。 兄に手を引かれて屋台とやらが並ぶ通りの入り口にたどり着いた。 楽しそうな人々のざわざわという声、店の人たちの呼び声。 「お、長月の嬢ちゃんか、珍しいねえ」 『しゃてき』とかかれた屋台の人がわたしに気づいて声を掛ける。 父さんと同じくらいの歳だろうか? 屋台にいる人々の中では比較的若めな印象を受ける。
/30ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加