始まり

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――――――――――――― 先ほどの五月蠅い奴がいなくなると辺りはまた静かになった。 先ほどまで騒がしかったからか、急に寂しさが押し寄せる。 ………いや、元々私は独りだったではないか。気にする事はない。 …ああ、これで邪魔者は消えた。 あとはゆっくり読書でもしようではないか。 自分の頬をぺちんと叩き、気分を変える。 庭にある椅子に腰掛け、本を開く。 「…………」 …しかし、ペラペラとページを捲るものの、全く本に集中出来ない。 折角持ってきたのだが…と本を閉じ、テーブルにいつも置いてある菓子を頂く。 「うむ、美味しいな。 ……ん?」 ふとあの男が去っていった後を見ると、一つの紙が落ちてあった。 疑問に思いながら近付いてみると、どうやら手紙のようだ。ご丁寧に秋桜(コスモス)まで添えてある。 ……これは私が植えて育てた花のようなのだが。気のせいだろうか。 …まあ、どうでも良い。そうであったとしてもまた植えればいいだけか。 それよりもこれをさっそく見てみようではないか。 お世辞にも綺麗とは言えない汚い紙だが。
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