始まり

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「初めて君と会った時から、と言っても昨日かな。 君が凄く、…悲しそうに見えて。毎日がつまらなくて悲しそうで辛そうで。 気になって、今日も来ちゃったんだ。」 何だ、こいつ。 「…私は外へは行かない。 人間が嫌いなんだ。今はどこに行こうが人間がいる。 辛くなどない。」 「どうして人間が嫌いなのさ?君が獣なのも、何か理由があるのかい?」 「…………。」 何故だ。何故私はこんなに動揺している。 「お前には関係ないだろうが。 私は一人がいいんだ! 何も知らないくせに、急に意味不明な事を次々と…ッ」 自分の寝室から、ずかずかと庭まで移動する。そいつの顔に拳を一発くれてやろうと思ったからだ。疲れは動揺に変わっていた。 …すぐ目の前に、そいつがいる。 殴ろうと更に強く拳を握ったが、…そいつの顔を見ると殴れなくなった。 そいつは、とても、…辛そうな。 悲しそうな顔をしていた。 …何だ、その、顔。 どうして、私にそんな顔を向ける。 理解出来ないそいつの顔に、力が抜ける。
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