始まり

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爽やかな朝の風。 様々な種類の花が咲く素敵な庭。 美しい庭に似合うシンプルな白いテーブルとイス。 さあここで読書をしようと思って来たのだが…。 「う~~ん……… 助けて~………」 なにやら情けない声を出し、庭の木の枝に引っかかっているモノがある。 「だ、だれかぁ~、助けてぇ…」 半分涙声になっている。 声から判断して、先ほど私に向かって(?)叫んでいた奴だろう。 どうしようか。 このまま放っておいてもよいのだが…うんうんと五月蠅い。 人と関わりたくない。 だが放置していても、困る。 極力触りたくなかったので、棒を拾い、それを使って引っ張る。 「いってててて!!ちょちょちょ待ッっ痛てててて!!!! うわわわわ… わぁっ!?」 ようやく引っかかりがとれた様で、情けなくドタン!と転げる。 「いった~……!!」 頭から落ちたようで、頭を抑え地面を転がり悶絶している。 …なんだこの情けない生き物は。 「お前、何をしている」 「え!?…へっ?」 びくりと体を震わせるそいつ。 …………随分とわかりやすい奴だ。
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