始まり

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“飛び越えた”? 馬鹿な。 この壁は10メートルほどあるのだ。 「………どうやって飛び越えた。」 生身の人間が普通する事ではない。出来る事でもない。 ただ単にジャンプしたら飛び越えれた、など人間の出来る事ではない。 「え?ただジャンプしただけだよ。」 服に付いた葉を取りながらそう答えた。 「そんな事、人間如きが出来る訳ないだろうが。」 「ええ!? 僕は嘘なんてついてないよ。 人より運動神経がいいんだ。」 嘘か真か。 結界を通ったし、まあその時点で普通じゃないのだろう。 とりあえずの所は納得しておく。 それにしてもよく分からない奴だ。 「まあいい。 さっさと帰れ。絵本の中の獣には会えただろう。」 「え!?…ぁ。獣…そうか。 まあ、そうだね。君に会えた。 でも君、獣っていうよりも人間っぽいかな。」 確かにこいつの言っている事は正しい。 私は「獣」よりも「人」に近い。 私が外見で人間と違うのは。 白に近い青色で、腰まである長い髪に、ぴょこんと動物の耳と尻尾がある事くらいだ。
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