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北海道○○市○○区
広い大地のはずれのはずれの辺境の地。
深い森に囲まれた怪しげな学校がそこにあった。
『私立十の一学園』
この高校が設立されたのは約60年前の事、当時の理事長はある思想をもとにこの学校を設立し、その教えは今もなお受け継がれている。
その教えとはシンプルなものであると同時にとても厄介なものだ。
『恐怖症患者を救え』
何を意図してそう指示したのかは今となっては謎のままだが、60年かけ全国各地の恐怖症で悩まされている学生を集めているうちに、この学校は所謂恐怖症患者専門高校となってしまった。
だが勘違いしないでほしい。
そんなキワモノぞろいの学校に自身の意思で入学し、毎日通い始めて一週間経つが、あくまで僕は普通の一般人。
ましてや何かに対する恐怖症患者ではない。
この学校はただ恐怖症患者を優先的に集めているだけであって、僕のような平凡淡々な学生が通っても何も問題はない。
むしろ教師達には10年ぶりの正常生徒として手厚くもてなされたぐらいだ。
あの時の校長は泣いて喜んでくれたっけ…
何の取り柄もないこの僕が、まさかあそこまで人を喜ばせる瞬間がやってこようとは、数年前までの僕なら思いもしなかっただろう。
『人生で一番喜ばせた相手は誰ですか?』
A「母親」
B「恋人」
C「友人」
俺「校長」
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