女神の口

4/14
前へ
/38ページ
次へ
「おそらく…浴室からそう遠くない場所で、殺したんだわ。運ぶときに、どうしても目立つから。」 私は爪を噛む。考える時の癖なのだ。 「浴室に誘い込んで殺したのかも。」 鳥澤の意見も無視出来ないが、私が風間なら、理由もなく浴室へは行かないだろう。 必ず相手を警戒するはずだ。 「ここは…物置かしら?」 鍵の開いている部屋を片っ端から開ける。 元々は何の部屋かは分からないが、ほとんどが収納スペースとして利用されているようだ。 「ねぇ、三神。ここは見なくていいの?」 階段の裏側のドア。 普通なら、物置として使う場所。 しかし、私の鼓動が高なる。 …もしかすると? 「…ああ、いたいた!三神さん、鳥澤さん!!」 ドアノブに手を伸ばそうとした瞬間。 場違いな明るい声が響く。 …カトリーヌだ。 「管理人さんに聞きましたよ!風間さん、殺されたんですって!?」 「そ、そうよ。カトリーヌさんは何か知らないかしら?」 私は無意識に手を引っ込めた。 「食堂に集まれって言われたわ。早く行きましょう?…あたし?あたしは部屋にいたから全然気がつかなかったわ!」
/38ページ

最初のコメントを投稿しよう!

11人が本棚に入れています
本棚に追加