女神の口

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管理人室に押しかけた私達は愕然とした。 ラジオが、何か硬い棒のようなもので、無惨に壊されていたのだった。 「部屋に戻ってきたら、この有り様です。慌てていたもので、部屋をロックするのを忘れてしまいました…。」 管理人は申し訳なさそうに頭を垂れた。 「あたしが急かしたからねぇ。仕方ないさ。」 鳥澤が頭をかく。 「ところでさ、そっちの可愛いお嬢ちゃんは?管理人さんの娘さん?」 彼の背中に恥ずかしそうに隠れる様子が、なんだか愛らしい。 「ええ、そうです。普段は町の方の自宅にいるんですが…まさか、こんなことになるなら、呼ばなければ良かった。…メグ、皆さんに挨拶は?」 「こ、こんにちは…。」 消え入りそうな声だ。 「あはは、みんなに一斉に見られたら、照れちゃうよね?」 鳥澤が笑いかけると、メグと呼ばれた少女は顔を赤らめた。 「あのう…。」 食堂の入り口から遠慮がちに話しかける者がいた。 例の、謎の少年だ。 「僕、どうして呼ばれたんですか?用がないなら、部屋に戻りたいんですが…。」 「ああ、結城さま。どうか、もうしばし…」 管理人が困った様子なので、助け船を出した。 「時間は取らせないわ。…聞きたいことがあるの。さあ、皆さん、食堂に戻りましょう!」
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