女神の口

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「…どうせ、警察が来るまでの辛抱でしょ。」 石山とは逆に、カトリーヌは冷めている。 …奇妙だ。さっきは、バラバラ殺人の話をしただけで、帰ると騒いでいたのに…。 「カトリーヌさん、貴女の部屋にはカードはあったの?」 私は揺さぶりをかけた。 「あ…あったけど?」 動揺している。 何か、あったのか? 「カード、ちゃんと保管して下さいね?誰かに見られたら、利用されるかもしれませんよ?」 一瞬だが。 カトリーヌの目線が、確かに泳いだ。 「わ…分かったわよ!」 ――誰を、見た? カトリーヌは、誰かと共謀しているんじゃないか? 私は、それ以上は何も言わなかった。 「…あのう、本当にもういいでしょうか?」 ずっと壁際に立ったままの少年が、動き出す。 「ここに、殺人鬼がいるにしても、部屋にしっかり鍵をかけておけば、平気でしょう?…僕は、休みたいんだ。それに、僕を殺したって、その人に何の得もないよ。」 やはり、分かってない、か。 これ以上、引き止めるのは無理だろうと判断した。 「いいわ。でも念のため、食事はここでとって下さらないかしら?貴方が生きてるかどうか、いちいち確認に行くのも面倒だわ。」 彼は、チラッと私を見た。疎ましい、という感情が読み取れる。 「…それは、個人の自由ではないですか?なぜ、貴女の指図に従わないといけないのです?…僕が死のうが生きようが、貴女に関係ない!」
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