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私は子供の言葉が気になり、階下へ降りた。
遊技室から声が聞こえる。
ビリヤードに興じている二人を捕まえて、聞いた。
「ねえ、バスの運転手だけど、何か聞いてない?」
年は私と大して変わりないくせに、少女趣味な姿の、頭の悪そうな女が、さっと青ざめた。
「貴女も聞きましたか?本当に不幸な事故でしたね。」
…はあ?事故?
心臓が早鐘を打つのが分かる。
「あの嵐の中ですもの。視界が悪くて谷底に落ちたんですって!!あたし達、無事で良かったわねぇ!」
嘘をついてるようには思えない。
…管理人に確認を取るか。ついでに電話を借りよう。
しかし、管理人室のドアは鍵がかかっていた。
しばらくして戻っては来たものの、また不手際を起こし、さらにはその場にいた蛇のような女に、ケンカを売られて、私は再び部屋に戻った。
部屋の中には、どうやって忍びこんだのか、またあの子供がいた。
「絵画の方は、他人でも操作可能。でも、女神は本人でなければダメみたいなの。」
子供は、意味不明な事を言いながら、私の右手を握る。
「一緒に来て。…いるんでしょ?殺したい人。」
私は彼女の手を握り返すと、誘われるがままに、歩き始めた。
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