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俺の知ってるランプの魔人はインドやトルコなどの衣装を着ているイメージが定着しているために、あまりにもチャイナ服は違和感しかなかった。
それに加えて名前も服装と一致しないし、色々と不自然な奴だった。
て言うかそもそも俺の知ってる魔人は少女ではなかった。
色々と異なる点が多過ぎる。
まぁ、けど可愛いんだよなぁ。
「あなたが私を呼んだ主様ですね?あなたには一つだけ願い事をする権利があります」
エリーゼと名乗る少女は事務的に、機械的にそう言った。
それにしたって、
「なんだって?主様?俺が?」
「はいそうです。あなたが私を呼んだのですから。それよりもお願いはどうしますか?」
「お願いって……」
「だから言った筈です。主様には一つだけ願い事をする権利があると。ホントに主様はよく聞き返すのですね。まあいいですけど」
エリーゼは少し呆れながら言った。
衣装や性別が異なるだけで、イベントの進行具合はほぼ同一だ。まさか、ホントにランプの魔人なのか?
だとしたら姉貴はなんて素晴らしい物を贈ってくれたことだろうか。
「ちなみに何でも叶えてくれるの?」
「いや、いくら何でも出来る事と無理な事はちゃんとあらますから、無謀な願いは止めた方がいいと思いますよ」
「えー……随分と現実的なんだな。じゃあ例えば総理大臣になる、とかは?」
「無理に決まっています、あなたの何処に総理大臣になる器があると言うのですか」
とてもシビアで棘のある言葉を食らってしまった。例えばって言ったのに……冗談の通じない魔人だ。
「うーん、じゃあ好きな人と付き合いたい、とかは?」
割と現実的な願いだった。一途に思い続けた天使椎名と付き合いたいと俺は昔からずっと思っていたのだ。
けど、これはどうなんだろう。魔人の力で叶ったとして、天使は本当に俺のことが好きだから付き合ったということになるのだろうか?
それとも……、
「それなら大丈夫ですよ。お任せあれです」
俺の思考を遮ってエリーゼは願い事を受諾する。
「じゃあその願い事で宜しいですか?」
「うーん、やっぱりもう少し考えてもいいか?」
「いいのですか?正直、この願い事がギリギリ叶うかどうかの境界線上にあると言ってもいいと思うのですが。今の願い事よりも更に高望みするのはもはや無謀と私は判断します」
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