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「……っ!!」
夢のような出来事が起こった後に待ち受けていた俺の結末は残酷な死の宣告だった。
§
これはきっと罰が当たったんだ。人の愛を不正な行為によって得ようとした俺に天罰が下ったのだ。
俺はずっとソファーに腰掛けたまま過去を振り返り、自分の過ちを悔い改めていた。
軽い気持ちだったとは言え、天使の愛を楽して手に入れようとした俺のしたことは愚行だったし愚考だった。
内心では分かっていた筈なのに、欲求に負けてしまった自分が情けない。
俺は深く深く反省する。今日の、この失敗を教訓にしてもう二度と考えを踏み外さないようにしよう。
俺がそう誓いをたてた時だった。
「お腹空きました。主様、何か食べる物を下さいよ」
さっきまで何処かへ行っていたエリーゼがリビングへ戻ってくると俺の隣に腰掛けた。
そしてグイッと顔を至近距離まで近づけるとそうねだるのだった。
「黙れ、この悪魔がっ。お前にやる飯はねぇ!」
よくもまぁ、俺を奈落の境地に陥れておいてそんなことが言えたものだ。
ぬけぬけとそんなことを言うエリーゼの無神経さに俺は腹が立たずにはいられず叫ぶ。
しかしエリーゼはそんな俺の本気の怒りを真に受けた様子はなく、少し大袈裟にリアクションを取った。
「酷いっ!さっきとは態度が全然違いますっ。誠実な人ほど性格が一変すると聞きますが主様もそういう類だったのですね!」
「誰だってあんな罠にかけられたら怒るわ!願い事を叶えてくれると思ったのに」
「でも私、願い事を叶えるなんて一言も言ってませんよ?主様が勝手に解釈しただけなのに。私が怒られる道理はないと思うのですが」
「屁理屈言うな」
「でもいいじゃないですか。よく考えてみて下さいよ。主様が願ったのは好きな人と付き合うことでしょ。そんなことを願う人は大概、恋愛に対して内気で消極的な人です。主様もそうなのでしょう、だったらこれを期に好きな人に積極的になりましょうよ」
なりましょうよ、と勧めているような言い方だが、今の俺の選択肢は天使に対して積極的になる他ない、その一択しかないのだ。
それを分かっている筈なのに軽々しく言うエリーゼの気が知れない。
そしてサラッと俺のことを小馬鹿にしたような発言もムカつく。
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