第1話

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中をめくると、古ぼけた紙に、手書きの文字・・・。 そして、セピア色に変色した何枚かの写真が、掠れた色鉛筆や、かつてリボンかなんかであったろう、古ぼけた糸のようなもので飾り付けられていた。   「ばあちゃん、これって・・・?」   俺が聞くと、ばあちゃんは笑って言った。   「あたしだけの、卒業アルバム・・・。 あたしは、3年生の時に1年と少し通った『クララ・ペタッチ記念女学院』から転校しなければいけなかったの。 短い間だけれども楽しかった・・・。」   そして、俺からアルバムを受け取ると、言った。   「差出日は、1945年4月15日・・・。 よく、あたしの所まで届いたと思うの。 その時、『サロ共和国』は、敗戦直前のドイツの支援も受けられず、継戦能力も失い、崩壊へのカウント・ダウンは止められなかった・・・。」   ばあちゃんの目は、遠く、イタリアに思いを寄せているかのようだった。
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