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「達也、あたしも、もう長くない・・・。
でも、もう一度だけ、サロに行きたい。
あの美しいガルダの畔に立って、旧友に会いたいの。
あたしは、それだけが気がかりで今まで生きて来たのかもしれない。」
そして、アルバムの最後のページをめくって、俺に見せて言った。
「『ミレニアムに会いましょう・・・。』
覚えているわ、この字は、わたしの一番のお友達、おさげのキアラの字・・・。
ああ、どんな素敵なおばあちゃんになっているのかしら?楽しみよ。」
ばあちゃんは、まるで初恋の相手に会う時のように、アルバムを抱きしめるとじっと、遠くを見つめた。
そして俺に言った。
それは、厳しく妥協を許さない、かつての『雷ババア』復活だった。
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