11人が本棚に入れています
本棚に追加
「達也、ここにいくばくかのお金があります。
すぐにサロ行きの便と、当地での宿を手配なさい。
当地には、一週間程滞在する予定ですから・・・。
ああ、当地でのガイドは不要です。
今から、イタリア大使館宛にレターを書きますから、それを大使館へ届けてちょうだい。
そして、明日にでも銀座と浅草に同行なさい。
銀座では、当地で着る服を揃えます。
浅草では、お友達に持っていくお土産を求めます。宜しいですね。」
有無を言わさないばあちゃんの迫力に俺は黙って、頷いた。
「あ、あのー、ばあちゃん?」
「はしたない、おばあ様と呼びなさい。
これでも私の家系は、父方が徳川二千石の旗本。
母方は、ロンバルディアの男爵家に連なるのですよ?
貴方もその血を継いでいるのですから、貴族の末裔らしく優雅にいたしなさい。」
「はい、かしこまりました。おばあ様。」
俺の言葉に、ばあちゃんは満足して頷くと、分厚い封筒を俺に差し出して、グレタ・ガルボの様に、にっこりと笑った。
最初のコメントを投稿しよう!