第1話

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それから、半月後、俺とばあちゃんは、成田からローマ行の便に乗っていた。 高所恐怖症の俺は、機体が揺れるたびに、この世の終わりの様な顔をしていたけれど、ばあちゃんは、のんびりしたもので、 「達也、日本男子がそんなことでどうするか!私が父と一緒にルーマニアからローマに行ったとき乗ったタンテなぞは、もっとひどかったわよ。 それに、その時は敵機にも追い掛け回されましたしね。」   そんなこと言ったって、俺とばあちゃんの時代とは違う・・・。 そんな俺に構うことなく、ばあちゃんは傍を通るCAに流暢な『キングス・イングリッシュ』で話しかけ、時折笑いを誘っていた。
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