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どのくらいそうしていたのか。
記憶はない。
気が付いたとき、彼女はもう劫火の炎に焼かれ、ただの灰と化していた。
真っ白で無機質なもの。
その臭いだけが妙に鼻について嫌悪を感じたのを覚えてる。
あの時、すぐに救急車を呼べば彼女は助かったかも知れない。
でも、俺は呼ばなかった。
もう、他の男に彼女を奪われることもない。
決していい母親では無かったけど、
愛してたよ、お母さん――
彼女は無縁仏になったらしい。
そして、数日後あの男が捕まったと刑事さんが教えてくれた。
その後のことは何も知らない。
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