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「そっちに行きたい」
そう言って彼女は窓から懸命に両手を俺に向かって伸ばした。
触れてもいいのだろうか?
そう悩んでいると彼女が「早く」と急かす。
仕方なく両手を彼女の両脇に差し入れると、彼女は「えいっ」と床を蹴り俺に飛びついてきた。
重みは感じない。
天使だからなのか、ふわりと首に巻かれた彼女の腕は柔らかく、髪からは太陽の薫り。
そして、トンっと軽やかな彼女の足音。
それは靴を履いていなかったからだと、大分後になって気が付いた。
「あたしも一緒にお水あげてもいい?」
彼女は俺の返事を聞くことなく、俺の手からジョーロを奪うと楽しそうに水をやり始めた。
その姿は本当に天使のようで、たっぷり5分は見とれていたと思う。
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