プロローグ

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笑顔でそう言うと彼女は瞼を弛緩させながら笑った……、 気がした。 その手にはもう力はない。 俺の手の中からするりと抜けて、赤い海に落ちていく彼女の手。 ぴちゃっと音を立て赤い雫が俺のひざに飛んだ。 彼女の目は開かれたままだが、その瞳はもう俺を映したりはしない。 床に広がる赤い液体は熱を失い徐々に冷たさを伝える。
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