1話 気になる視線

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2学期。 9月半ばだというのに残暑が残って蒸し暑い。 窓辺を見るともう星が清く白く瞬いている。 秋風が窓辺から吹いて私の髪の毛を攫う。 ピーンポーンパーンポーン♪ 教室のスピーカーから鐘がなった。 何事だろうか。 帰りの会が始まっている。 お知らせがあるときには黙想タイムが終わってからすぐに放送が入るはずなのだ。 だがもう黙想から10分以上経った。 ま、どうせ私は関係ないし、聞き流すか。 『実行委員会からのお知らせです。 今日放課後に実行委員会を実行しますので技術室に16時30分筆記用具を持って実行委員は全員集合してください』 ・・・わわ、マジか。 私はその実行委員だ・・・。 私の学校は10月20日(土)に文化発表会がある。 そして私はなりたくもなかった実行委員を1学期学級委員に押し付けられ、強制的になったのである。 私は手芸部なので運動部ほど厳しくないから普通に委員会に出られるので良かったが、目立ちたくない身としてはものすごくめんどくさい。 話によると実行委員で誰か1人が司会をやらなければいけないだとか、めくりプロを作るのに3時間以上かかるだとか先輩に吹き込まれているからだ。 「うわあぁー・・・めんどくさぁー」 私は思わず小声でつぶやきながら机に突っ伏した。 後ろから背中を突っつかれた。 「痛っ!」 ものすごい勢いで振り向くと親友の陽菜が私を指差して笑っていた。 「なにすんの、陽菜」 「だって突っ伏した格好が面白すぎたからー」 ・・・・何言ってんだコイツは。 さすが天然。 「いや、それ言い訳になってないからね!?」 「あ、そう?」 陽菜の発言と行動はツッコミどころがありすぎて目が離せない。 私は陽菜の親か、といいたくなるぐらい過保護になってしまう。 全く可愛いな、と私が微笑んだその時。 「森崎ひゃん、うるひゃいでしゅよ」 担任の大木(男・独身・想定だが○貞)が私に向かって言い放った。 やはり滑舌の悪さは変わらないんだな・・・。 「す、すいません」 私はとりあえず謝ったがホントは謝りたくもなかった。 あいつだけには・・・・。 「というわけでしゅ。 では終わりまひょう」 「起立」 日直が大木の比較するとハンパなく滑舌のよい喋りで号令をかけた。
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