1話 気になる視線

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クラスメイトが一斉に立ち上がる。 委員会、かったるいなー。 話の長い大木は起立させてからまた長話をしている。 それを私は左耳から右耳へと聞き流す。 「っというわけでしゃようなら!」 「・・・・」 2,3人ほどしか応答しない。 大木は学年全体に嫌われている。 ま、それもしょうがないだろう。 私も応答せぬまま逃げるようにドアに向かった。 技術室へ行かねば。 「陽菜、委員会いってくるから部活よろしくね!」 「はいはーい!がんばってねー」 陽菜の天使の微笑みに見送られて幸せ気分で廊下を歩く。 今日は何やるんだろう。 めんどくさくないのがいいなー。 私は溜息をついた。 紹介が遅れたが私は中学1年生なのである。 よって文化発表会なんて初めてで、しかも部活に先輩などいない新設された部活に所属しているため先輩方に会うと体が硬直してしまうという・・・・。 タタッ・・・・ 気配を感じて振り向いた。 そこには、君がいた。 君、というのもあれだから紹介をしておこうではないか。 川井直樹。私のクラスメイトだ。 長身で私よりも背が高く(私は152しかないのだが川井くんは165)、なんとなくいるなーぐらいの存在である。 「あ、川井君」 「も、もも森崎さん・・・!」 「実行委員会めんどくさいねー」 「そ、そうですね!」 なんだろう、すっごくぎこちないぞこの会話。 と、ぎこちない会話をしているうちに技術室に到達した。 「失礼します」 すでに数人がいる部屋に焦りを感じつつも冷静を装って入室する。 1の1の席は・・・・ ドア側の一番手前・・・ 目立つ。うん。目立つわ。 溜息をつきながら席に着くと2組のほのかちゃんが声をかけてきた。 「森崎ちゃん、おつかれおつかれー! 大丈夫かい!?」 「うん、大丈夫だよー」 「って、これは今期夏アニメのストラップではないかー!」 ほのかちゃんは私の筆箱についているちっちゃなちっちゃなストラップを発見してしまっていた。 今期アニメの大好きなキャラクターのストラップを勢いで勝ってしまった私はどうせばれないだろうとつけていたのだった。 それを出し惜しみもなく大声でばらされてしまうとは・・・。 「これ、めっちゃカッコイイよね!私も好きなのー」 ほのかちゃんは必死に私に訴えてくる。
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