神様がいない月

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私は本当についてない子どもだった。 子どもの頃、遠足とか運動会とか修学旅行とか楽しみにしていたイベントの前日には、興奮しすぎて絶対熱を出した。 ピアノの発表会が近づけば、学校の体育の授業のバレーボールでつき指をして、発表会には出られなかった。 ここぞという肝心な時、決まって私には災難が起きる。 大人になってからも、そう。 私がいいなあって意識した人は、みんな私の友達の方を好きになるし、合コンでちょっといい感じになったと思った人には、帰り道にホテルに連れ込まれそうになった。 私の全く冴えない人生を、幼なじみの涼太はあの日こうばっさり切り捨てた。 『香澄は10月生まれだから仕方ないよ』 って。 でもそんなの、私のせいじゃない。
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