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仕事でよく着ていたからか、制服に着られる感は全くなく。
身長伸びるかな?なんて想定して大きめに買ったのに、ぴったりとか。
たいして大きくも無い普通の門を、満開の桜に迎えられながら潜って。
どこ行けばいいんだっけ、なんて呑気に思って。
とりあえず人の波に身を任せて、人だかりができているところへ。
事前に渡されていた用紙に書かれている事項を、受付の人に読み上げる。
何かにチェックして、席の番号を教えられ、座ってから10分後くらいかな。
しん…と、静まって、入学式が始まった。
俺の両親はこういうイベント事にうるさいため、朝は「入学式前の集まり」なんてありもしない事を適当に言って、入学式の日時は真っ赤な嘘を伝えておいた。
『花音ちゃ~ん!おめでとう!おめでとう!ママは嬉しいわよっ!合格おめでとーう!』
『僕も嬉しいよカノン!さすが僕の子だね!ピアノに高校生活に忙しいだろうけど、どうか今を楽しんでおくれ!』
高校合格が分かった時の両親の反応。
嬉しい反面、うるさい。
きっと俺が冷めやすくなったのも両親がうるさかったからだと思う。
母さんは純日本人だけど、アメリカ人の父に感化されたのか。
むしろこの性格はもともとで父を感化させてしまったのか。
どっちにしろ、うるさいのは変わらない。
名前がどんどん呼ばれて行く中で、疲れているのか怠けているのか。
怠そうな声で返事をする奴も。
さすがに俺にはそんな勇気ないし、仕事上そのような醜態を晒す訳にはいかない。
だからといって真面目でも無いので。
名前を呼ばれた時は普通に返事をした。
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