【かくれんぼ】秋川くんのハツコイ。

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ーーーどれくらい、夢中になっていたんだろう。 気がつけば、お昼をすぎていて。 でもこのあとは暇だからいいかとも思って。 ……帰ろう。 そして、ピアノに浸ろう。 決して暗い過去があるわけでもないけど、友達作りが苦手な俺。 友達の数は片手で足りるほどだが、それでも心を完全に開ける友達なんていない。 社交界や何やらで、きっと大人の世界に慣れてしまったからだろうか。 ピアノの世界から一歩抜けると、全てが幼稚に見えてきてしまう。 下駄箱で靴を履き替えて、昇降口を出る。 …だから、だろうか。 今目の前で、満開の桜の木の下で血が舞うような喧嘩が行われていても、俺は何も思わなかった。 例えば、痛そうだなとか。 例えば、くだらないとか。 例えば、何で喧嘩しているのかとか。 朝、迎えられたようにもう一度桜に見送られて、校門を出ようとした時。 ーーー俺は、見たんだ。
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