【旋 律】後編 第十三章

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  「今まで散々、私を押し倒しておいて緊張だなんてよく言うわね」 呆れたように腕を組んだ亜美に、薫は弱ったように頭をかいた。 「今までは押し倒しながらも、お前が俺をぶん投げることを心のどこかで予想してたんだよ。 今は投げられることもなさそうだし、本当にそうなるかもしれないと、思ったら、なんか急に……緊張して来て」 「私だって緊張してたのに、それ以上に緊張されたら拍子抜けだわ」 亜美はそう言って呆れたように息をついた後、クスクス笑った。 「でも、そんな薫が好き」 「えっ?」 薫は驚いたように目を開いて、亜美を見た。  
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