【旋 律】後編 第十三章

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  もう一度キスをし、亜美は薫を見上げて、柔らかく微笑んだ。 女の子は皆、こういう思いをして、大人になっていくのかな? 好きな人に、身を委ねる。 当たり前なようで、簡単なようで、本当に凄いことだと思う。 私はずっと、自分が恋に落ちるのを待っていた。 恋に落ちた相手に、すべてを委ねてもいいと思っていた。 でも、そんな簡単なものではなくて、紆余曲折しながらも、互いを探りあい、想いを深めて、相手を心から欲するようになる。 私も薫もまだまだ未成熟な子供。 これから色々なことを経験し、豊かな人間となって行く。 例え、すぐ近くにいられない時期があっても、あなたと生きていけるって信じてる。 ……薫、私はあなたが大好きよ。 亜美は薫の背中に手を回し、胸に頬を埋めながら、噛み締めるようにそう思った。  
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