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「やめて、冗談でもそんなこと言わないで」
円香がムキになって声を上げると、
「どうしてそんな心配するの?僕は意外に丈夫な男だよ」
楓はそう言って円香の身体を優しく引き寄せて、包むように抱き締めた。
「だって、あなたは本当に文学の世界から来たような人だから」
腕の中で目に涙を浮かべながらそう漏らした円香に、
「大丈夫、僕は円香を悲しませたりはしないって誓ってるから」
そう言って円香の頬に手を触れ、キスを落とした。
「……こんなことを心配しちゃうなんて馬鹿みたいよね。
幸せすぎると怖くなるって、本当ね」
唇を離すなりそう告げた円香に、楓は柔らかく目を細めてそっと額を合わせた。
「うん。僕も幸せすぎて不安になるよ。
だからこそ、今の幸せを大事にしていこう」
そう言って二人は互いの存在を確かるように抱き締め合った。
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