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――――……
「結局、できなかったね」
亜美はベッドに横たわり天窓を眺めながらそう告げると、薫が勢いよく身体を起こした。
「ストレートにできなかったとか言うなよ!
今回はあまりに感情が入りすぎて、こんなこと初めてで……自分でも信じられねぇよ」
真っ赤になりながらそう声を上げて力尽きたようにベッドにドサッと横たわった薫に、亜美は小首を傾げた。
「どうして、そんなにムキになるの?『できなかった』って言われるの嫌なの?」
「当たり前に嫌だし、口外してほしくないよ。男の不名誉なんだぜ」
そう言って背を向ける薫に、亜美はクスクス笑ってピッタリ寄り添った。
「私はなんか嬉しかったよ。本当に想ってくれてるんだって感じたの。あのまま抱かれるよりも、嬉しかったかもしれない」
そう告げた亜美に、薫は複雑な表情を浮かべながらゆっくりと視線を合わせた。
「マジでそう思ってる?」
「うん」
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