【旋 律】後編 第十三章

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  オフィス街は日曜と言うことで、いつもより出勤するサラリーマンの姿は少なかった。 「おはようございます」 と、いつものように挨拶をしながら、職場に顔を出すと、同僚たちは目を丸くして、裕子を見た。 「……佐伯先輩ですよね?」 裕子がデスクに着くなり、伺うように尋ねて来た後輩に、 「やだ、当たり前じゃない」 裕子は思わず吹き出すように笑った。 「だって、まるで別人で驚きましたよ。 髪もスッキリしてコンタクトで、メイクもスタイリッシュで服も明るくて。すごく素敵です」 興奮気味に声を上げる後輩に、裕子は照れながらも素直に「ありがとう」と笑みを返した。  
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