【旋 律】後編 第十三章

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  その時、編集長が「みんなおはようさん」という言葉と共にオフィスに顔を出した。 小太りでヒゲだらけの、それでも笑顔が屈託ない無害そうな中年男性だ。 そんな編集長も裕子の姿を見るなり、 「佐伯君か?」 と目を開いて身を乗り出した。 「あっ、はい」 「なんだよ、たった一日会わなかっただけで、すっかり変わったなぁ。イイ女になって」 「ありがとうございます」 ずっと変化が怖かったけれど、自分が思う以上に周囲は人達は、変わった自分を温かく受け入れてくれるんだ。 温かい皆の眼差しに、裕子は胸が熱くなることを感じた。  
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