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応接用ソファーに座っていた布施がゆっくり立ち上がり、こちらに向かって歩み寄って来る姿が目に映る。
「裕子」
下の名前で呼び捨てした布施に、皆は目を丸くした。
「布施君、どうしたの?」
「今日は午前中で終わるって言ってたから、このあと大丈夫かと思って」
裕子のすぐ目の前で脚を止めて、見下ろしながらそう告げた布施にバクバクと鼓動が打ち鳴らした。
「だ、大丈夫よ」
ドギマギしながらそう答えていると、
「これは布施先生。
いつも素晴らしいコラムを執筆してくださってありがとうございます。大反響ですよ」
と編集長が満面の笑みで握手の手を差し伸べた。
「いえ、こちらこそいつもお世話になっております。
おかげさまでコラムを掲載するようになってから、大学で人気者になれました」
そう言って布施は仕事用の『極上の笑み』を浮かべて握手を交わし、
そんな布施の姿に、女性編集者達は『やっぱりイイ男』と熱い息をついていた。
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