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二人は無事買い物を済ませ、スーパーを出て、コテージまでの道をゆっくり歩いた。
歩きながらなんとなく無口になり、亜美は沈黙に困ったように薫を見上げた。
「……留学の件、薫のお父さんとお母さんには相談したの?」
「少し前に……情けないけど自分の力だけではどうしても無理だしな。
『MBAを取りに留学したい、必ず返すから先行投資のつもりで援助して欲しい』って頭下げたら、親父は『よく決意した』って泣いてたよ」
「うちのお父さんには話した?」
「……兄貴にはまだ話してない。本当は真っ先に相談したいくらいなんだけど、兄貴は、すっかり俺の兄貴よりも亜美の父親になっちまった感じで……」
そう言って苦笑した薫に、亜美はムキになって身を乗り出した。
「そんなことないよ、薫のこと、すごく気にかけてるよ」
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