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裕子は放心しつつ、横にいる布施をなんとなく見た。
裕子の視線に気付いた、布施は笑みを見せた。
「よくできました」
「わ、私は何もしてないわ」
赤面しながらそう言った裕子に、
「つらかっただろ、よく根を上げなかったな」
布施はそう言って優しく頭に手を乗せた。
「私、痛みには強いの。
盲腸になった時もギリギリまで我慢して、逆に先生に怒られたことがあるくらいだし。
それに布施君が優しかったから……」
「ふぅん、我慢強いわけだ」
「ええ、まぁ、割と」
裕子はためらいながら頷いた。
「いいな、嫁は我慢強いに越したことはない」
そう言って笑みを見せた布施に、裕子は眉をひそめた。
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