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「…私、そろそろ帰ります。」 私とは住む世界が違う人だと気付いて、このまま居たら何かが変わってしまいそうで怖くなった。 「マス…」 「待ってください。」 グラスに残った雪待月を飲み干してマスターに声をかけようとした私を、男の人が引き留める。 「なんでしょう。」 「何か失礼でも…」 さっきまで会話していたのにいきなり帰ると言い出した私に向けられる、心配そうな瞳。 「そんな事…。楽しかったです。」 私の言葉に、男の人は安堵の表情を見せるとちらりと腕時計を見た。 「確かにもういい時間ですね。」 時刻は0時を過ぎたところだった。
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