第1話

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桜 中学校の入学時、自分は大きな間違いを犯した。 犯罪などではなく、もっと規模の小さなものだ。言い換えれば、子ども同士のケンカといえよう。あの頃はまだまだ子どもだった自分と、親友との間にできた隔たり、亀裂、矛盾――。些細なものから大きなものまで。 言ってしまえば、小さな勘違いから生まれた火の粉が自分たちの関係をぶち壊された。 絶交――……そんな言葉がしっくりくる。 火と水。空と土。油と水。例えはたくさんあるが、自分たち――いや、俺たちの関係は生まれた時から悪かったわけではないのだが、間にくみさない異例が割り込むことで例えがわかりやすくなる。 火と水の間に電気が割り込むことでお互い感電する。空と土の間には風が割り込むことで空を混ぜ土を抉る。油と水には――言わずも分かる。 はじめが悪かったわけではない。 ただ、通過点が悪かっただけなのだ。 歩んだ道は、獣道だったのかもしれない。 それでお互い見失い、失望し、夜になると見えるものも見えなくなり、引き返すこともできなくなった。 歩むたびに障害が道を阻み、立ち止まり、怪我をし、道を踏み外す。 俺は、踏み外さなかった。 だが踏み外した親友に巻き込まれ、崖の下へと落ち、這い上がれなくなった。
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