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現在の春莉の戦績は2勝1敗であった 「まだやれるっスよ…」 遊莉はそんな中、必死に立ち上がり春莉を睨み付けた 「私はまだ戦えるッス…」 遊莉は峰打ちとはいえ、春莉の太刀を三度浴びたのだ 立っているのは奇跡だと言っても過言では無いだろう 「朝海さんのやってきたことが無駄だって言ったこと撤回させてやるんだ」 「……」 遊莉は小太刀ひとつ握る力が残っていないのに、必死に彼女に向かおうとした そして、そんな遊莉を見て春莉は口を開いた 「…どうして無駄じゃないと言える」 「え?」 「どうして無駄じゃないと言えるんだ!」 春莉は遊莉という自分より遥かに弱い相手に覚えた恐怖を振り払おうと声をあげた 「私が救われた」 遊莉はほぼ執念だけで、春莉に迫っていった 「私の前で朝海さんのやってきたことが無駄っていうんならアンタを許さないです」 遊莉は再び構えた 「……全く」 再び瞬間移動にも似た何かを発動させようとしたが、朝海は遊莉の腕を掴みそれを制止していた 朝海はずっと後ろの壁際に居たのだが、瞬間的にここまで来れたのだから恐らく相当腕をあげたのだろう 「あれほどエフェクトを多用するなと言っておいたのにな」 「朝海さ…!」 朝海は遊莉の首筋に平手を決めた 平手をモロに受けた遊莉はガクンとくず折れた 「勝負に水を差すような真似をしてすまない」 「いや、早く終わってよかった」 「そうか」 朝海は気絶した遊莉を担いだ 「…お前」 春莉は胸中をそのまま吐露した 「お前報われたんだな」 「報われてなんかない」 「お前がやってきたこと無駄なんかじゃないんだな…朝海」 春莉は満足そうに出ていった
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