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「ったく、しつこいっス!」
遊莉の回し蹴りはピエロの顔面を鋭く抉ったがピエロの体はぐねっと曲がっただけでダメージはほぼ皆無なように見える
春莉ならばどんな策を練るか?
「特に思い付かないッスーーー!」
半泣きになりながら小太刀を体の回転を利用しピエロに斬りかかった
「ふえええ!!」
ピエロは奇声を上げながら左腕を振った
小太刀と腕がぶつかり合った
遊莉の浅い経験ですらピエロの腕から放たれる一撃を受けたらマズイと思った
「手を貸そうか?」
遊莉の後ろの空間から声がした
「貸さなくて良いから私の小太刀返せっス」
「ああ」
神楽参が遊莉の手に握られた
「全力で行くっスよー!」
遊莉はピエロとの距離を一瞬で詰めた
「私の必殺!」
そして踏み込む
「二重舞」
-二連-
ピエロの体を斜めに切り裂いた
-四連-
次は見えない神速の奥義のように見えたが、ピエロの体に傷が四つ付いていた
「いったいよおおおおおお!?」
ピエロが奇声をあげたが遊莉は止まらなかった
「超必殺の六連!」
-六連-
遊莉の斬撃はこの段階で神速を超えていた
究極の斬撃はピエロの身体をズタズタに引き裂いた
「圧勝ーーーーー!」
そして遊莉はガッツポーズをした
そのまま勝利の余韻に浸り、そのまま小躍りを始めた
それを見ていた春莉は寒気を覚えた
もちろん素質に畏怖したというのもある
かつて自分は《鬼》意外にも数人を切り捨てた事がある
そのあとは深い後悔に見舞われた
一番強かった後悔はずっと昔に朝海をその白刃にかけたことであるが、少なくとも勝ったから嬉しいなんてことは無かった
その小躍りはとても空恐ろしく同時に滑稽に見えた
どっちがピエロかわからないそんな気分だった
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