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『お主は剣士でござったか』
武者の刀は菊一文字、鞘に納まるは松崎敢然廿朗作・天楼閃散桜
菊一文字の一太刀を女は折れた刀で受けていた
『こんな我流の技程度破れるだろう』
そして武者の剣術は恐ろしく前衛的な攻めだった
『応!拙者の陰陽流は必殺でござるからな!』
陰陽流とは、陰陽反天流、陰陽返地流の原点にして頂点に君臨する必殺剣術だ
『陰陽流横閃!』
彼女は菊一文字の一閃を折れた刀で受けた
『なっ!?』
菊一文字は折れた刀をそのまま割断してみせた
だが彼女はとっさに屈んで一閃をやり過ごした
そして、柄を逆手に持ち直し、立ち上がり様に柄で武者の顎を撃ち抜いた
彼女は武者の脇に差してある散桜を抜いて、後ろに下がった
『ほう!拙者の刀を!』
武者は楽しそうに笑っていた
これで彼女と武者の立場はほぼ同等
だが、武者の方が数枚上手だった
『陰陽流乱桜!』
彼女は技の名前を聞いた瞬間背後にある瓦礫の山を蹴ってそれをかわしていたが、次の瞬間瓦礫の山がバラバラに切り崩されていた
‐燕落とし‐
武者の鎧の背中に一太刀入れた
その瞬間鎧が粉々に砕け散った
『ほう!』
体を軸にした回し斬りを武者は繰りだしてみせたが彼女の刀はそれを軽々と受け止め、逆に菊一文字の太刀を真二つに叩き割った
『なんだと!?』
瞬間、彼女の刀が煌めきを放った
『やあああああ!』
彼女は吼えながら、武者の体を一閃した
-三段霙散-
―――松崎の刀には神が宿る
武者は初めてその言葉の意味を知った
彼女は目にも止まらぬ速さで武者の両腕を落とした
『あああああああああああ!』
彼女の動きはもう終わっていた
彼女は刀を降り下ろし、膝をついていた
『…最後の一閃見事でござった』
武者が最後の一言を言い切った瞬間武者は縦に真二つに裂けていた
――停止
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