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「ふーむ?」 ピエロは傷だらけな身体を引き摺って男の前に歩いて行った 「あれれー隠者ァーぼろぼろじゃーん」 ピエロは男の頭を掴んで持ち上げた 「ふん…」 男はため息を吐いた 「構わん、やれ」 「うんーー!」 春莉は構えた 「……何をするつもりだ」 「つーか、まだ生きてたっすか」 遊莉も呆れながら構えた だが、そんな二人も予想が裏切られた 次の瞬間ピエロは男の身体を引きちぎった その瞬間真っ赤な鮮血が辺りに飛び散った 「なん…スか、アレ?」 「目を閉じてたほうがいい」 生首から生える背骨が生々しく写った そして、春莉の予想は大方当たったと見ていい 次の瞬間ピエロは大きな口を開けて生首を咀嚼し始めた 「こーいうとき、戦うべきっスか?」 「私は一つ決めていることがある」 「なんスか?」 春莉は遊莉の襟首を掴んだ 「相手が異常者と知った段階で逃げる」 そして一気に階段まで詰めた 「それどーやってやるんスか?」 「意外に簡単な技だ。今度教えてやる」 だが、春莉の見立てとは違いピエロは追ってこなかった 春莉はふと天井を崩しピエロの足止めしようか考えたがあの腕力の前では無意味だと判断し、そのまま階段を登ったところで通信が入った 『……朝海だ』 「おい、どうした!?」 朝海の呼吸は荒くほとんど息も絶え絶えだった 『悪いけど、ここから最上階に向かって欲しい』 「あ、ああ」 『あと、ここは極寒のロシアだからコートを着ていくといい』 「そうか」 朝海の話すことは他愛ないことだった 『あと、足を用意したからそれを使うといい。それで日本に行ってくれ』 朝海の呼吸は荒くなっていた 「お、おい!朝海!?」 『あと、すまないここで僕は終わりらしい』 「お、おい」 次の瞬間柔らかい物を踏み砕く音が聞こえた 「朝海!?」 春莉は無線に向かって叫んだ 『これが無線か』 「……お前、何者だ」 無線の声はとても明るいものだった 『私は千の顔を持つもの』 「ふざけるな!」 春莉は腹の底から叫んだ 『結月春莉、私を殺せる物ならば殺すがいい』
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