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『解凍作業完了しました。あと10分で覚醒します』 機械音声によって回想を再び中断した朝海だった 「あと10分ッスかー」 「そうだな」 そんな朝海を脇目に楽しそうにはしゃぐ遊莉はどこかの妹にとても似てていて見ているととても辛かった 「ねぇ!」 「どうしたんだい?」 遊莉は楽しそうに彼女を待つ時間潰しと言わんばかりに質問を始めた 「春莉さん!綺麗だったんスか!?」 「そうだな」 「そうだな…じゃなくて!」 「えーっ…とな?」 朝海は珍しく困っていた 「確かに彼女は綺麗だったよ。今だから言うけど見た目の好みは彼女の妹だった。もうとっくの昔に病気で死んじゃったけど彼女は僕のことをホントに助けてくれたよ。」 「で、どうだったんですか?」 「さあね」 遊莉はキョトンとしたがすぐに朝海への追及は終わらなかった 「で、好きだったんっすかー?」 「さあね」 朝海は苦笑いしながらさらりとかわしたが、意外と遊莉は固かった 「どうだったんスかー!」 「そうだな」 朝海はとうとう折れた 「彼女は綺麗だったよ。僕が好きになるくらいにはね」 「男っすねー!」 朝海はこんな弟子に教えたことを酷く後悔した 『覚醒まで10…9…8…』 機械音声が彼女の覚醒の秒読みを始めた 「朝海さん」 「ん?」 遊莉は満面の笑みを称え突拍子もないこといいだした 「春莉さんここで殺して問題ないですよね」 「それは春莉とここで戦いたいってこと?」 「はい」 それに対して朝海の答えも意外なものだった 「ならいいよ」 《…5…4…3》 秒読みも終わりに差し掛かったそのとき、遊莉は構えを見せた 「システムスターティング」 《承認しました。使用者遊莉》 彼女が呟いた途端遊莉の右手には小太刀が現れていた 《2…1…覚醒します》 機械音声が彼女の覚醒を告げたとき、煙のようなガスに人影が見えた と同時に遊莉は呟いた 「エフェクトオン!」 《システムエフェクト縮地ver50.61.85…発動後の負荷に注意してください》 そして遊莉は瞬間のうちに彼女と肉薄していた 遊莉は小太刀を降り下ろした しかし、彼女はそれを素手で受け、逆に小太刀を奪っていた いわゆる無刀取りという技だった そして彼女は切っ先を遊莉に向けていた 「私が目覚めたのは殺される為か…?朝海」 彼女は覚醒した それはきっと世界を救うための第一歩であると彼らは信じた
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