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結果を簡潔に述べよう
この勝負は遊莉の辛勝だった
つまり春莉が遊莉に負けるという異例の事態であった
そしてこの状況で朝海が推測する春莉が負ける一番の要因はやはり春莉が遊莉を舐めてかかったことだった
つまり油断
「案外弱かったっスね」
遊莉は右手で血が滲む左肩を押さえながら言った
「アンタその程度ならいいっスわ」
遊莉は小太刀を拾い上げ、踵を返した
対照的に春莉の中に燃え上がる何かあった
「…待て」
春莉はそんな何かに従い刀を構えた
「次はしっかり殺してやる…かかって来い」
「はぁ?、やるっスか?」
「負けたまま寝るのは目覚めが悪い」
「もう起きないっスよね!」
春莉はそれに答えず無言で刀を構えていた
「んじゃまあ!止め刺してあげるっスよ!」
遊莉が構えを見せた途端その姿は消えていた
次の瞬間目の前に遊莉が居て春莉の首に二本の小太刀を向けていた
だが、春莉の動きはもう終わっていた
詠み桜-天楼-
いつの間にかに遊莉の小太刀は遥か後ろにはじき飛ばされていた
「え?」
遊莉だけではなく、朝海も唖然としていた
「ちょ…こんなん聞いて無いっスよ」
遊莉は音もなく倒れた
「峰打ちだ」
そして、春莉は刀を鞘にしまった
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