1人が本棚に入れています
本棚に追加
「あいしてるよ。」
貴方が、甘い声で、甘い台詞を囁く時は。
決まって、私のでも、彼女のでもない匂いを、させている時。
抱きしめられて、胸に顔を埋めて、そして、思い知らされる。
この人の、’たった一人’が、私ではないってことに。
それでも、ずるい貴方は、私を突き放すことはせず。
私を手放すこともせず。
懐にいれたまま、懐柔しようとする。
’愛してる。’
と、たったその一言で、私が、手の内にいると思い込んで。
----あぁ、愛しい。
莫迦な貴方。
’愛してる’を、簡単に言い訳に使う貴方が、愛しくてたまりません。
’愛してる’と、容易く言い訳に使うその舌を、噛み千切って、もう私以外に’愛してる’と、囁くことができないようにしてあげようかしら。
「私も、愛してるわ。ねぇ、だからキス、しましょ。」
END
最初のコメントを投稿しよう!